2011/7/1-3 天上山


メンバー:鉄人(L)、塾長、Kanegon(記)

 7/1 22:00 JR浜松町駅を降り立つと、タニシから電話が入る。「急用で行けなくなった。竹芝 桟橋の待ち合わせ場所にいるから、お酒を預けるよ」と。
 2003/3の大島・三原山では風邪を引いて土壇場で欠席。よくよく東海汽船には縁がない人らしい。

 23:00定刻通りに船は出る。デッキに出て、ビールで乾杯。東京の夜景を見ながらのビールは格別で、 これだけでもう観光気分。

 7/2 6:00 もうすっかり夜は明けている。鉄人、塾長の姿は既にない。デッキに出ると、日差しが 目に刺さる。大島を過ぎ、乗客は半分以下に減っている。デッキのテーブル席に鉄人を発見。ここで青い海と 島々を見ながらの朝食。うぅ〜ん、最高!

 8:30 神津島・多幸港に入船。島のバスに乗り、本来入船するはずだった前浜港に移動し、立派な乗船 券売場にほとんどの荷物をデポ。水とカメラと昼ご飯だけを持って登山開始9:30。
 舗装道路を歩いていると、真黒に日焼けした短パンの元気者に出会う。Gyoshoさんである。彼は7/1昼間の ジェット船で神津島に入って、我々を待ち伏せしていたのだ。Gyoshoさんから今朝の漁船の様子などの話を聞き ながら、白島登山道入口まで一緒に歩くも、拠ない事情でGyoshoさんの登山はここで終了。我々3で9:50、 本格的な登山を開始した。

 一歩登山道に足を踏み入れると、そこは南国のジャングルのような樹林帯。纏わりつく湿気に早くも大汗が 流れる。
 鉄人は相変わらずの歩幅で進んでおり、あっという間に姿が見えなくなった。
 ガスが低く垂れこめ、天候が悪化するのではないかと少々不安を感じつつも、森をグングン登る。40分位 歩くと、木々の背丈が低くなってきた。まるで森林限界に足を踏み入れたようだ。でもここは標高480m程。 不思議だなぁーと思いつつも前に前にと進む。


 ところどころでオオシマツツジのピンクが目に入る。鉄人に遅れること数分後の11:00 天上山山頂に 到着。

 通りかかった登山者にシャッターを頼み、記念写真。
 ここは風が強く、長居出来る場所ではない。ガスも晴れず、少々残念な気持ちを持ちつつも、山頂一周に出る。
 裏砂漠と呼ばれる山頂付近の一角は、本当に砂浜のような場所。
 この頃から少しガスが取れてきた。空に向かって「頑張れ!ホレ、晴れてみろ!」と声をかけていると、先を 行く鉄人が「おー、海だー!」と叫んだ。
 またまたぁー、そう上手く行くもんですかと鉄人に追いつくと、本当に海が見える。

 何て青い海なんだ!感激もひとしお。写真をバチバチ撮りながら、来た道を振り返ると、そこもガスが取れて おり、先程までの景色が一変。
 次々と変わる景色は好好。
 山頂付近をぐるりと一周し、黒島下山口を降りる。この頃からはジリジリと肌が焼ける感覚があり、やばいと 思いつつも、見下ろす景色に気を取られ、ぐんぐんと歩く。

 そして13:00黒島下山口到着。
 舗装道路を道なりに降りると、集落が見え始め、商店街らしき一角に到着した。
 鉄人はさっさと買い物を済ませるぞ!と言っているが、塾長とカネコは「ビール先に飲ませてくれなきゃ、 一歩も歩けない」と駄々をこね、500mlの発泡酒を飲みつつ、地魚を求めて町をさまよう。

 途中、中学生男子に「こんにちは」と元気に声をかけられ、気分よく返事をしたが、いいかい若者よ。こんな 大人になっちゃダメだよ。胸の中で呟く。

 町の人に教えられたスーパーに到着し、地魚をGET。今度は酒屋に入って、盛若(神津島の焼酎)とたっくさん のビールを購入し、荷物をデポした港に戻る。

 併設する観光センターで温泉の前売り券(¥800→¥600)を購入した鉄人が、店の人に「タクシーを呼んで 欲しい」というと、あと5分で目的地に向かうバスが出るという。
 日に4往復しかしないバスに待ち時間なしで乗車出来るとはなんてラッキー♪
 朝と同じ運転手さんに「沢尻キャンプ場で降りたい」というと、
 「はいよー。あそこなら温泉も近いし、いいよね。あんた方のお連れさんは朝から温泉でお待ちだよー」という。
 「そーですか」と返事をしたあと、
 「なんで連れって分かるんです?」と尋ねると
 「だってあのじいさんがあんた方のことを言ってたもん。すぐにわかるさー」と。

 さすが離島。あっという間に有名人の我々。運転手が
 「買い物は済んだかね?」というので
 「はい、マルハンで魚を買いました」と言うと、
 「そーかい。あそこなら電話すれば持ってきてくれるよ」
 「え?キャンプ場に刺身を」
 「そうだよ、電話すりゃいいんだよ」と。ほー、ほんまかいな?

 沢尻キャンプ場で下車し、各自がテントを張る。今日は3人で3張りのテント。各自が持ち家を持参した形だ。
 テントの準備が終わり、15:00温泉場に。

 そこには寛ぐGyoshoさんの姿があり、風呂上がりに一緒に乾杯をする。
 汗がひいたので、Gyoshoさんに我が家を見せるためにテント場にお連れし、そこでバスを待つ。
 本日4往復目のバスが到着し、16:30Gyoshoさんはひとり、民宿へと向かった。



 さて、いよいよ食事。分厚く切った金目などをつまみに、あーだこーだと酔っ払いの戯言は続く。ふと誰かが
 「明日の船でも刺身が喰いたい」と言いだし、
 そーだ!電話すれば持ってきてくれるって言ってたぁ!となる。
 財布からマルハンのレシートを取り出し、電話かけ
 「沢尻キャンプ場に出前をお願いできますか?」と尋ねると
 「はいはい」と二つ返事。

 イサキなどを頼み、約10分後の17:00、バイクに乗った兄ちゃんが
 「お待たせしましたぁ」とクーラーボックスを抱えてやってきた。
 きゃー、宅配ピザならぬ、宅配刺身だー!と一同狂喜乱舞。おまけに持ってきてくれた兄ちゃんが可愛かったので、 写真をパチリ。
 (でもね、いいかい若者よ。こういう大人になってはいけないよっと、心の中で呟く)



 辺りが薄暗くなってきた19:00頃、一台の車が我々のそばに停車。
 「Gyoshoさんはいますか?いないので気になって」という。
 「は?民宿で泊っていますけど…」と返事をすると
 「昨日Gyoshoさんが泊った宿のものですが、今日はGyoshoさんはお仲間とキャンプだって聞いて、差し入れを もってきたんですけど…」
 はぁ? Gyoshoさん、宿の人に何を言ったんだぁ?と慌てて本人に電話。
 民宿の女将と直接話してもらい、女将の気がかりは無事解消。差し入れの魚の澄まし汁を鍋ごと私たちに渡し ながら
 「これから私は温泉に行くんですが、温泉に入らないっていう従妹を置いてきますね。帰りに拾いますから」
 は?何々?
 と思っているうちに、女将の車が去り、50代前半という女性ひとりが、
 「すみませんね〜」と我々のベンチに座り込んだ。

 酔った頭で、よく事情が分からないながらも、まぁまぁとビールを差し出すと、ぐびぐびと美味しそうに飲む。 なんだか世間話をしていたが、そろそろおねむの時間の鉄人には、私よりも一層状況が把握できないらしく
 「で、あなたはどうやって家に帰るの?」と繰り返し尋ねていた。
 約1時間後、民宿女将が戻って来て、置いて行った女性を拾って帰って行った。(なぜか私と電話番号を交換し、 「神津島って登録しておいて」とおっしゃった。意味がわからん)

 嵐が去り、酔いも手伝って頭が混乱。いやはや、もう寝ようということで21:15就寝。

 7/3 5:00 トイレで目が覚める。
 テントを出ると、鉄人と塾長は浜を散歩しているのが見えた。塾長は戻ってくるなり
 「海がしょっぱいか舐めてみたら、しょっぱかった。ビールで口直ししよう」という。
 せめて先にトイレに行かせてぇ〜。トイレから戻ると、二人は既に乾杯済み。こうして夜明けと共に酒盛り が再開したのである。酒を飲みながら、パンを頬張り朝食も同時に済ます。ぼけーっと海を眺めていると、 幸せだなーと感じる。

 8:00頃、今日は前浜港から船が出るという島内放送が入る。テントを撤収し、朝一番のバスに乗り込み、 昨日と同じ運転手に
 「マルハンが本当に届けてくれた」というと
 「そう言ったでしょ」と当然の顔を返された。

 9:30 定刻通りに東京に向かう船が出発。
 我々はデッキのテーブル席に陣取り、昨日兄ちゃんが届けてくれた刺身で本日2度目の乾杯。
 青い海、流れる緑深き島々、青空に白い雲…いつまで眺めていても飽きることはない。隣のテーブルでは、 スイスから来たというひとり旅の女性に、島のおっちゃんが(私もまっ青の)ブロークン英語で異文化交流。
 反対隣のテーブルでは蛇味線を引きながら島唄を唄うお姉さん。
 左手には冷たいビール、右手には刺身。これを幸せと呼ばずになんとしよう。こうして8時間の贅沢な船 旅で今回の山行を閉じたのである。

 天上山、おススメです。低山なのに高山の気分を味わえます。東京の宮之浦(屋久島)ってとこですね。

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