3月30日 秘密の花園 山行報告 ヒメ
ひ・み・つ・の花園、です。 ただの 「フクジュソウ自生地」 なぞではありえません。 そこにゆけばどんな夢もかないそうではありませんか。 ともあれ一見にしかず。 ワクワクしながら申し込みました。 世は3月末の平日。 メンバーは、週休3日以上のハッピーライフを謳歌するプチ卒業生 (塾長,MR たにし)と、窓際サラリーマンの私の3名のみ。 あたたかくうららかな春の日でした。
この日、気温20 度まであがるという。 塾長は、軽アイゼン持って来いと書きながら、この天候なら不要、と持たず。
気弱な塾生は、アイゼンに加えてストックまでも持参。 わからないことも問い合わせず、山行案内の行間を深読みして行動を予測。 「歩行6時間。おいしい飲み物は帰りの車中で。」 ということは、ランチタイムは短めで湯沸しなし、と考えて自分のためだけの荷造りをしたマエダは正解。 何はさておきこれがなくては、と4合瓶を担ぎ上げる決意をし、花園には焼イカの香りがよく似合うだろうと、ガス、バーナー、鍋、焼き網、と全てひとりで用意したあげく、肝心の「イカ」 を自宅に置き忘れてきたMR たにしのことは 「おちゃめ」 とでも表現しておきましょう。
7:54 飯能発の電車に全員乗る。 沿線の里山風景を楽しみながら8:43 西武秩父駅に到着。 往路のバスは10 時までないのでタクシーで登山口のある川俣橋へ。 約20 分、4000 円弱。 同じ目的で、同じようにタクシーでここまでやってきた先行パーティ3 組あり(8 名、4 名、4 名)。 やっぱり平日はすいてるねぇ・・・ とのんきに構えたいところだが、復路に利用可能な市営バスは16 時発の1 本のみ。 定員7 名。乗車の権利を得るためには、トップ、または 4 名のパーティに続く2 着でゴールインあるのみ。 はたして我々の実力で座席が確保できるや否や・・・
※ちなみにバスは300 円。 タクシーは運賃+540 円(迎車料金)。見ると、川辺にはビール飲みながらイワナ釣りしているカッパの像。幼なじみに会ったような親近感を覚える。 9:20 秘密の花園へ出発。
本日は時計まわりの周回コース。 帰りはここに降りてくるよ、という分岐を横目に花粉たぷたぷの杉の林道を進む。人気のない家屋や廃屋の前を通ってかれこれ60 分も歩くと、谷筋の開けたところにでた。 沢の水音と、ウグイスとミソサザイの鳴き声がよく聞こえる。 (注: 鳴き声を聞いて、ミソサザイと同定したのは塾長です。)
この辺りでもう道らしい道も目印もなくなってしまう。 前のパーティは迷ったのか、はたまた少しはましと考えたのか、高い所をよじ登っている。 その様子をちらりと見て別の道をゆく我がパーティの目の前にもシカ除けのネットが立ちはだかった。 行き止まりで迂回するかと思ったら、なんと塾長は結び目をほどいてくぐった。 最後尾を歩く MR たにしが元通りに結び目をゆわいた。 ??? みんなこうしているらしい。 深く考えないことにする。
続きましては沢へ続く細くて長い下りの斜面。 足を置くそばからガラガラと崩れ、捕まろうとする岩や木はすっぽ抜け、神経がキリキリとすり減る。 体幹を斜面と並行にし、重心を低くし、両手とお尻も使って、少しでも摩擦係数を大きくし、落ちたときのダメージが最小となるよう細心の注意を払う。 今まで見つからなかったのに、こういうところに花は咲く。
左の沢へ出る。 この沢筋を登っていって1200mあたりのところに花園があるらしい。まだまだ遠い。 まずは休憩。この辺でかつてはワサビを栽培していたらしい。名残がうかがえる。ネコノメファミリーがちらりほらり。 さぁ 前進。しっかし。 さっきよりはまだ我慢できるが、この沢筋も急登かつ足場が悪く、たいへん、大変、歩きにくい。
堆積している枯葉で地肌不明。 浮石にバランスを崩して膝打ち。 残雪の上を歩こうとするとズブン!と踏み抜いて水ポチャ。やれやれ。ふりむくと先行パーティが3組ともずっと後ろにつながっている。いつのまにかトップになっていたらしい。
実は塾長は昨年もツアーでここへ来ている。そのせいなのかどうか、登りはゆっくりゆっくりの塾長が、こんな悪路をかなり早いペースで飛ぶように進む。 この私がついていけない。 「道なんてないんだから、どこでも歩けるところを歩けばいいんだよぉ」 と声がかかる。 待ってぇぇぇ。 思えば塾長ははじめからずっと半袖。ザックも傾いてない。いつもとちがう。 調子狂うなぁ。
無駄に荷物の多いMR たにしは、太ももが痛くなってきたらしい。 ときどき休憩しながらマイペースをキープする。こうして徐々に他のパーティに追いつかれ、いつしか追い越され、約2 名はばてばてになってようやく花園に到着。お気楽に近づくことのできないユートピアだけあって、待望のフクジュソウが、それはそれはきれいに咲いていた。右を向いても金色、左を向いても金色。 おひさまあたって、きらきら。きらきら。きらきら。 早すぎず遅すぎず、ちょうど今が見頃。 もっと高いところも見えるけれど、ここでお昼ご飯。 ココロもぽかぽか。
(塾長撮影 :2枚とも)他のパーティも申し合わせたようにここでランチタイム。 が、しばしワイワイしたら、とっとと立ち去ってしまった。我々だけがいつまでも残っていた。 さて、塾長の頭の中は懸案のバス問題。 どうみても我々の 「ビリ」 確定。来た道を戻れば時間的にバス乗車がかなう可能性はあるらしいが、“あんな道”を戻るという選択などあり得えぬ、と塾生2 名の猛反対もあって、予定通り、少々時間のかかる尾根をまわって周回することになった。しかしながら、行く道も油断ならないのか、手の届くところにあるにも関わらず、4 合瓶は無傷のまま残った。
この4 号瓶、 箱は 「菊水」、中身は別メーカだという。 箱にビビビときた塾長の 「これはぜひ、自分に持たせてほしい」 との懇願により、この後この瓶は塾長のザックの中に納まった。 過去、セレモニーのないランチタイムは、とんと記憶にない。しかもリーダーは塾長。 これは記録と記憶に留めねば。 この時期の晴れた日、 ここに辿りつけた限られた人々に、ごくわずかな時間だけ鑑賞される花々。 さようなら。いつまでもこのままで、 と願いながら、 記念撮影して、我々もようやく腰をあげる。 奥多摩の山々へ続く稜線へ。 やや普通に歩きやすくなったと思ったら、塾長のペースがいつものとおりになった。本人は 4 合瓶を持ったからだ」 という。 なるほど。 理屈ではない。 実に説得力がある。尾根筋に沿って下る。 右手に秩父の山、左手には奥多摩の山。県境ではないらしいが、稜線歩きは気持ちがいい。
いつのまにか大ドッケも過ぎた。 今回のルートにはいわゆる三角点というものがないそうである。 そういう山行もありそうでなさそうで。 これも記録と記憶に留める。いつのまに購入したのか、ときどきGPS なんぞを取り出して現在地点と高度を確認しながら歩く塾長。 誰より大きな縮尺の紙の地図もコンパスも持っているのに。 でも、途中 「まちがえたかな」 と引返したのは直感だったみたい。さすが! ハイテク機器なんかより、塾長の経験値の方が断然 「上」 ですよん。 なぁんて、最上級の敬意を表したいのに、最後は雑木をかきわけかきわけ、ザックも服も花粉だらけになって、とある民家の裏に辿りついた。 「帰りはここに降りてくる」 といわれていた分岐と全然ちがう所。 「確信犯」 でしたね。案内には 「ヤブありません」 と書かれていたのに、やっぱり塾長らしい山行スタイルで終わった。 15:12。
帰りのバス停には先行パーティの姿はなく、始発地からの乗車だったことも幸いし、まったくあてにしていなかったバスに乗れてしまった。 16:32 に西武秩父駅到着。 地元の銘酒を選ぶ余裕もなく、ありきたりのビールだけ購入。16:38 発の電車に乗って飯能へ。 4 合瓶は車中で開封されました。 正体は諏訪出身の真澄ちゃん、純米酒でした。とてもおいしくいただきました。 ごちそうさまでした。
追> バス待ちの時間、歩いて数分の大日堂を訪ねたら、石段を登るMR たにしの足はもはやあがらなくなっていた。自分の意思で動かせないという。 このときハハハと笑っていた私の両太ももにも翌日になって激痛がはしった。筋肉痛を超えた肉離れ級の痛さ。この報告読んで花園に行きたくなったみなさん、よくトレーニングしてから行くことをお勧めします。
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